監督・脚本・編集:アンダース・エンブレム
撮影:マイケル・マーク・ランハム 音楽:エイリク・スリニング
製作:スティアン・スキャルタッド、アンダース・エンブレム
出演:アマリエ・イプセン・ジェンセン、マリア・アグマロ、ラース・ハルヴォー・アンドレアセン
原題:A Human Position 日本語字幕:西村美須寿
提供:クレプスキュール フィルム、シネマ サクセション 配給:クレプスキュール フィルム

[2022年/ノルウェー/ノルウェー語/カラー/ヴィスタ/78分] ©Vesterhavet 2022

そっと寄り添う
                ゆっくり生まれ変わる ─────

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introduction

青くて、物悲しいノルウェーの長い夏。うっとりするような静けさの中、パステルカラーに包まれた港町の丘をゆっくりと登って振り返るアスタ。新聞社に勤める彼女は、地元のホッケーチーム、アールヌーボー建築を保存するための小さなデモやクルーズ船の景気など地元の人々を取材しニュースにする。彼女の支えとなるガールフレンドのライヴは、デザインチェアを修復し、キーボードを演奏し、作曲をする。子猫が歩きまわる家で、料理を作ったり、古い映画を観たり、ボードゲームを楽しんだりと二人は穏やかな時間を過ごしている。ある日、アスタは10年間ノルウェーに住み、働いてきた難民のアスランが強制送還されたという記事を目にする。その事件を調べて行くにつれ、アスタは自身を覆っていた無気力感を払拭し、仕事とプライベートの両方で自分が求める”心の居場所”を次第に見出していく…。

監督は、本作が長編2作目となるノルウェーが生んだ才能アンダース・エンブレム。フィヨルドに囲まれ、絵画のような色彩豊かな風景で「ノルウェーで最も美しい街」と称される監督の故郷オーレスンを舞台に、写真集を捲るように優しく美しい筆致で丁寧に描く。主人公アスタを演じるのは、監督デビュー作『HURRY SLOWLY(原題)』に続いて再びタッグを組んだアマリエ・イプセン・ジェンセン。彼女に優しく寄り添うライヴ役にはマリア・アグマロ。柔道着を着て、着物を着る。日本の映画を観て、囲碁を打つ。箸を使って食事をする。少しずつ描かれる二人の機微を愛でるように心静かに見守るプロセスは、観るものを心和む気持ちに導いてくれるだろう。

何かを声高に叫ぶわけでもなく、世界で最も裕福な国の一つといわれるノルウェーに対する、微妙な疑問とメッセージをそっと囁くように投げかける。心拍数を安定させながら、心乱さず高揚させてくれる物語は、”語らずに語る”全てが愛おしいスローシネマだ。

夢のような時間がゆっくりと流れる、ノルウェーの哀愁漂う港町…
人生のちいさな一歩を踏み出す、優しさに満ちたスローシネマ。

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story

ノルウェー・オーレスン。ここはフィヨルドに囲まれた、色鮮やかなファサードの建物が立ち並ぶ美しい港町。夏を迎え、今は白夜の季節。この時期は、太陽の光がこの町の海と緑をさらに美しく照らし出す。

アスタはこの町で、再び動き出そうとしていた。病気療養のため、地元新聞社の記者の仕事からしばらく離れていたが、臨時雇いながら復帰も決まった。心も体も、まだまだ万全ではないが、カンならそのうち取り戻せる…。アスタは自分をそう信じ、かつての職場に戻っていった。

アスタが一緒に暮らすのは、病気ですっかり弱ってしまった心に癒しをくれる小さな猫一匹。そして自宅を職場に、古くなった椅子のリペアを手掛ける最愛のパートナー、ライヴ。特にライブとの他愛のない会話と穏やかでゆったりと過ごす時間は、今のアスタにとって何より大切なひと時だ。

記者としてアスタが担当するのは、市内で起こるささやかな出来事や小さなトラブル。自宅に戻れば、ライヴと二人だけのリラックスした時間。静かに戻りつつあるアスタの日常。

ある日、ライヴは新聞に掲載されていた記事に目を留める。それは『労働法違反で難民申請者が強制送還へ』と題された誌面の小さな記事。その内容が気になったアスタは翌日、記事を担当した記者に連絡をとる。わかったのは強制送還された彼の名はアスラン、そして勤めていた水産加工工場の連絡先…。

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comments

喪失感を抱える主人公の日常を、絵の具が乾くのを見るように静かに見守る
──── The Film Verdict

そっと包み込む柔らかさがある、理由も分からない涙が出た

──── Dial M for Movie

映画におけるヒュッゲのようなものだ

──── Dmovies

ひとコマひとコマが心安らぐ暖かい毛布とホットチョコレートがとてもよく似合う映画だ

──── Waldeck

その掴みどころのないハッピーサッドなトーンで、疑問符のような映画。
私の心には、その余韻が残っている

──── Filmy Sasi

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staff

監督・脚本・編集 :アンダース・エンブレム
Anders Emblem

1985年、ノルウェー、オーレスン生まれ。オスロ大学映画学で学士号を取得する。映画の研究をしたり、世界中を旅行したり、ソーシャルワーカーとして働く。2018年『HURRY SLOWLY』で監督デビュー。 舞台は美しい大自然が広がるノルウェーの西海岸。主人公フィオナは弟と二人暮らし。毎日通う仕事場のフェリー、自閉症の弟の世話、趣味のアコースティックギターで奏でる音楽。静かで淡々としたフィオナの夏の日常生活を描く。

 

 

撮影:マイケル・マーク・ランハム
Michael Mark Lanham

1997年、ノルウェー、オスロ生まれ。2020年国立映画学校で撮影監督として教育を受ける。 本作品がデビュー作で、それ以来、さまざまなミュージックビデオ、コマーシャル、テレビシリーズを制作してきた。 最近、デンマークの DR1のFatal Crossing がラップされる。

 

 

音楽:エイリク・スリニング・コルネス
Eirik Slinning Korsnes

1989年、ノルウェー、オーレスン生まれ。 ミュージシャン兼ソフトウェア開発者。 アンダース・エンブレムとともに『HURRY SLOWLY』(2018年)と本作品の両方で曲を書く。 Payphones というガレージ ロック・バンドで活躍している。

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cast

アマリエ・イプセン・ジェンセン(アスタ役)
Amalie Ibsen Jensen

1993年、 ノルウェー、オーレスン生まれ。幼少の頃からから演技を習い、2017年にノルド大学を俳優として卒業する。クラスの学生たちと劇団フェイル・テーターを設立し、子供から大人まで楽しめる演劇・舞台で活躍。 劇場テアレット・ヴァールトと国立移動劇場(リクステアレット)の舞台で主演を務めたほか、『HURRY SLOWLY』(2018年)と本作品で主役を務めた。

 

 

マリア・アグマロ(ライヴ役)
Maria Agwumaro

1994年、ノルウェー、オスロ生まれ。 オスロとトロムソの両方で育ち、2017年にノルド大学を俳優として卒業した。アマリエ・イプセン・ジェンセンと同じく、劇団フェイル・テーターを設立し、演劇・舞台で成功を収めている。 まもなくNetflixの『真夏の夜』(2024)にも出演する予定。

 

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theatre

特別鑑賞券¥1,500(税込)発売中!

★劇場窓口でお買い求めの方にB3ポスターをプレゼント(限定数)

劇場名TEL公開日前 売
東 京シアター・イメージフォーラム03-5766-01149/14〜
岡 山bear’s book store 086-230-05109/26〜
栃 木小山シネマロブレ050-3196-90009/27〜
長 野上田映劇0268-22-02699/27〜
札 幌シアターキノ011-231-93559/28〜
名古屋ナゴヤキネマ・ノイ052-734-746710/5〜
熊 本denkikan096-352-212110/5〜
長 野松本シネマセレクト0268-22-026910/6〜
静 岡静岡シネ・ギャラリー054-250-028310/11〜
神奈川横浜シネマリン045-341-318010/12〜
神奈川川崎市アートセンター044-955-010710/12〜
神奈川シネコヤ0466-33-539310/23〜
大 阪テアトル梅田06-6440-593010/25〜
京 都アップリンク京都075-600-789010/25〜
宮 城フォーラム仙台022-728-786610/25〜
三 重進富座0596-28-287510/25〜
群 馬シネマテークたかさき027-325-174410/25〜
石 川シネモンド076-220-500710/26〜
鹿児島ガーデンズシネマ099-222-874610/28〜
千 葉キネマ旬報シアター04-7141-723811/2〜
兵 庫元町映画館078-366-263611/2〜
広 島横川シネマ082-231-100111/9〜
富 山ほとり座076-422-082111/9〜
佐 賀シアター・シエマ0952-27-511611/22〜
山 口シネマポスト083-242-186812/21〜
福 岡KBCシネマ(限定)092-751-4268近日公開
愛 知刈谷日劇0566-23-0624近日公開